「誤った二分法」は「誤ったジレンマ」とも呼ばれるもので、
実際には他にも選択肢があるのに、二つの選択肢だけしか考慮しない状況をさします。
「誤った二分法」は、特に選択を相手に強いるような状況で生じやすい状況です。
「この商品を買えば、快適な生活が手に入ります。買えるのは、今だけ!あと3時間で販売終了」
とか、インターネット上の広告には、皆さんの心理をうまくついて販売する方法にあふれています。
例え話として多いのは、詐欺にツボを勧められる場面。
「このツボを買って、部屋に飾ってください。それだけで、あなたの運気は高まり、幸せが舞い込みます。買わなければ、運気は下がり、必ず不幸にみまわれますよ。どうしますか?買えるのは、いまだけですよ!」
などと言葉巧みに商品を勧められる。精神的に追い詰められることで、「誤った二分法」に追い詰められ冷静な決断ができなくなってしまいます。
つまり、「ツボを買って幸せになる」か「ツボを買わないで不幸になる」か究極の選択を迫られ、いろいろ不安を煽り立てて冷静な判断ができなくなる。詐欺師だけではなく、人間の感情や心理状態を利用する販売手法としてよく用いられる手法です。
「誤った二分法」の罠に、引っかからないようにするにはどうしたしたらよいのでしょうか。
隠された選択肢を明らかにする。
実は、この「ツボを買って幸せになる」か「ツボを買わないで不幸になる」かのシチュエーションでは、選択肢は2つではありません。
つまり、
②ツボを買わずに、不幸になる。
だけではなく、
③ツボを買って、不幸になる。
④ツボを買わずに、幸せになる。
の4つの選択肢が存在します。
冷静になれば、ほとんどの場合は④が正解となります。
誤った決断をすれば、③のような結果を招くのです。
つまり、Yes or No の選択を複数の選択項目で考えると、
2のn乗の選択枝が存在するのです。
このシュチュエーションの場合、「ツボ」と「不幸」の二つの選択項目なので、
2の2乗 = 4 で4つの選択肢が存在するはずです。
冷静になれば、簡単に分かることなのですが、
詐欺師や言葉巧みなセールスマン、広告の宣伝文句などは、そのことに気づかれないように、不安を煽り、恐怖を呼び起こすことで、我々の判断をあやまらせるのです。
「誤った二分法」に追い詰められた時点で、「おや?何かおかしいぞ」と気づくことができれば、冷静な決断をくだすことが、やさしくなります。
さらに選択肢を増やす
人間の心理として、物事を決めようとすると、視野が狭くなりやるかやらないかの二者択一の選択に思考が傾いていく傾向があります。自ら「誤った二分法」にはまっていくため、的確な決断が難しくなっていくのです。
やるかやらないかの二者択一の選択に悩むシチュエーションになったら、一端冷静になって、ほかの選択の可能性を検証することで、「誤った二分法」の罠から抜け出すことが可能になります。
二者択一の選択の選択で悩みぬいて決断するよりも、さらに複数の選択肢を検証することでより良い決断ができる可能性が高くなります。
これについては、オハイオ州立大学で企業の意思決定についての研究の結果があります。
168の企業のCEOを対象に行った調査では、経営上の意思決定行う際、2つ以上の選択肢を比較検討したCEOは全体の29%にすぎませんでした。
そして、「やるか、やらないか」の二者択一で意思決定をした場合、長期的に見て52%の決断が失敗に終わっていたのです。
一方、二つ以上の選択肢を検討した後の決断の場合、失敗は32%まで減少しました。
「誤った二分法」の罠にはまらないように、一度冷静になって広い視野で検討することが、遠回りのようですが、よりよい決断をする秘訣のようです。
ただ、選択肢はたくさん増やせばいいわけではなく、最適な選択をするには5から9という法則があります。これは、ジャムの法則と呼ばれているものです。
コロンビア大学ビジネススクールの教授、シーナ・アイエンガー氏によるジャムの試食販売を利用した実験では、選択肢は7±2が最適という結果がでています。ここでいう最適というのは、人が自信を持って選ぼうという気になって、選択した結果について満足できるということ。多すぎると決断できず、先延ばしてしまいます。少なすぎるとほかにいい選択はないかと不安になり結果に満足できないというわけです。
ただ、人によっては、「選択肢が増えると決めれない」「自分は優柔不断だから決めれない」という場合もあります。誤った二分法の対策としては、もう一つの選択を考えることで十分ではあります。
冷静になってから、ほかの選択肢を熟考しても遅くないでしょう。
まとめ
・気が付いたら、一度冷静になって他の選択肢についても検討することで、決断の質を高めることができます。
セールスの世界では、人の心理は研究しつくされて、巧みに利用されています。
人間の心理を理解することで、心理の罠に引っかからずに、よりよい決断ができるようになりましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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